本と私 るる編18

こうして思春期の入り口に入った私は、中学2年生、14歳の時に中国へと旅立ちました。
中国では子供が読む日本語の本もないし、漫画もありません。
ましてや面白そうな中国語の本もありませんでした。来る日も来る日も地元の学校に通うだけです。
何もすることのない私を見て、またしても父が本を読むことを進めてくれました。
父の赴任先は駐在といっても化学プラントを建設する現場でしたから、多い時には日本人が30人くらいいる大所帯でした。
招待所の中には会社の事務所があり、事務所の中には大きな本棚があり、その本棚は沢山の本で埋まっていました。
その本棚の中から父が私に選んでくれた本は渡辺淳一の「阿寒に果つ」でした。
今となっては記憶は確かではありませんが、確か17歳の女の子が北海道の阿寒湖に身を投げるお話だと記憶しています。文中の主人公の心理描写が巧みでまるで私自身が主人公になってしまったような気分でした。

つづく


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