第13回読書会 るる編

佐々 涼子  エンジェルフライト 国際霊柩送還士

国際霊柩送還士。こんな仕事があるとは知りませんでした。すごい仕事です。かつて大手旅行代理店に勤めていた時に知識として知っていたのは、遺体を棺に入れ貨物として日本へ送ること、そしてそれは非常に高価になるということ、その為ほとんどの人が海外において先ずは火葬にしてから遺骨を持ち帰るということ。文中にもありましたが海外で火葬にすると遺骨が残らず遺灰になってしまうので温度を調節しなければならないこと、それだけの知識しかありませんでした。そしてエンバーミング(防腐処理)に関しては全ての内臓を取り除くという程度のことしか知りませんでした。実際に遺体を見たことは二度しかなく、一度目は若くして亡くなった大親友でした。彼女のお葬式は彼女のお誕生日に執り行なわれました。その前日身内だけの会が催され私も招待を受け真赤なバラ一輪をもって会いに行きました。口紅を指していない遺体は「遺体」という感じがしたものですが、ご両親から「口紅はるるちゃんが指してあげて」と残してあったのでした。紅筆を持ち、紅を唇にのせていく、たったそれだけのことでしたが、唇が紅をのせていく端から少しよれていきます。生きている自分に口紅を塗っているような感じです。「生きてるよ」と言いそうになりました。全ての紅を指し終わった彼女は「遺体」というよりもただ単に「寝ている」ように見えました。もちろん解剖した跡が軽くスカーフで隠してありましたが首の回りに残っています。二度目はつい最近ですが夫の母が亡くなった時です。どちらのケースも普通に亡くなっているので葬儀社がエンバーミングをしたのだと思いますが、本文のエアハースインターナショナルは、国境を越えて遺体を故国へ送り届けるという仕事をしています。それは病死だったり、事故死だったり海外から還ってきた遺体は欠損した状態で還って来ることもあります。そしてまた飛行機で搬送をしている際にも気圧の変化などで保存状態が変わることもあります。その全てをご自宅に届けるまでに「生前と同じように」戻していくのが仕事です。
「お父さんとお母さんが待ってるよ。よくかえってきたね」そんな風に声をかけながら、
「しばらくぶりに家族に会えるんだから男前にしてくれよ」という声が聞こえるような、
遺族が悲しみぬいて悲嘆を癒すためにエアハースはそこにいるのでした。


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