日本語活字中毒の皆々様 ようこそ趣味の貸し本屋へ 
第12回読書会 minori編
2015-08-27 (木) | 編集 |
食べる・中村安希

『食べ物の恵みを受けて生きてきました。私たちは、食べ物を与えてくれる神に感謝し、生産者たちに敬意を払わなければいけません。そして、食べる営みを続けてきた全ての人を讃えたい。食べ物に感謝して』(本文より)

私たちは食べるという行為で基本的には生を繋いでいる。
給食を受ける子供たちに「いただきます」を言わなくていいなんていう母親もいるなんて言われている現代、だけどここには食べること、更に食を通じての人間たちの温かな交流が記されていた。

「インジェラ」というゲロ雑巾(おえー) と揶揄されるというエチオピア料理を筆頭に、聞いたこともないような食べ物やあまりに日常にありふれている水まで、様々な食べ物が14コ、そこにはあった。

個人的なことになるが私はお腹が弱い。
そして大食漢でもない。
更には基本的に臆病なため、未知なる食べ物には多少の抵抗がある。(あと、パクチーがキライだ)だが、食べることは好きだ。(そして飲むのも好き) 美味しいものは食べてみたい。
美味しいと評判のレストランに行くのが、例えそれが場末の汚い店だとしても、好きだ。
10代から20代前半くらいまでの私は食べることにあまり興味がなかった(だから病弱だったのだろう)。
ワーキングホリデーでオーストラリアにきて初めて自分で料理を作るようになり、言わなくても料理を出してくれた母の存在の有難さを感じ、日本食の美味しさに気付き、そして新しい食べ物との出会いを経て今の自分が形成されてきたような気がする。

ここ数ヶ月間は特に、住んでいるシェアハウス内で「もぐもぐ会」なる会を結成したのをきっかけに更に食への貪欲な思いは続いていた。
私たち、結構色んなものを食べたけど特にモロッコの料理はのたうち回りたくなるほど美味しかったなぁ。

この作者の中村さん(きっととってもオトコマエな人なんだろう、女性だけど!) は同じく食に対して貪欲でチャレンジャー、更には現地の人へ溶け込むことの出来る(そして愛される)キャラクターの持ち主。
この本のタイトルは「食べる。」だけどそのそのテーマと同時に様々なステキな出会いが存在していて、一つ一つのエピソードがとても印象的で忘れられないものとなった。
アメリカの大学に行っていたそうなので、きっとその経験としっかりした英語のベースがあってこその旅人だったのだろう、人を見る目もあるんだろう。
すっと人を見極めて現地の家庭なんかに入っていける強さが羨ましい。
極度の臆病者の私が経験できない旅の数々、まるで自分が経験しているように楽しいものとなって届いてきた。
ただし、虫はカンベンしてほしかったけど…(ってよく耐えたなぁ、尊敬)。

個人的に好きなエピソードは水のことを改めて考えさせられた第三話の「水」、見た目と生きていく現実を突きつけられた第五話、「ジャンクフード」、そっけない態度の裏に隠された暖かいココロの持ち主の同級生が描かれた第九話の「臭臭鍋と臭豆腐」は、私を散々シゴいてくれた上司の台湾人を思い起こさせてくれた。
きっと彼女もこの「彼女」のようにそっけなく私を歓迎して、しっかり現地の食べ物を食べさせてくれるに違いない。
その他どのエピソードもココロをほっこりさせてくれたり時に考えさせられたり、満腹になるものばかりだった。

そしてこの本は彼女のブログの写真とともに完成する。(確かにゲロ雑巾…)

最後に、今はメンバーがバラバラになってしまった「もぐもぐ会」。
私たちが食べた食事は数知れず、一緒に作った品数も数知れず。
旅の途中で私は居場所を見つけて腰を落ち着けてしまっているけど、メンバーの旅はまだ続いている。
みんなが新しい食べ物を誰か新しい友人たちと楽しく食べてくれることを祈りつつ、この本をオススメしたいと思う。
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